『潜水服は蝶の夢を見る』

車いすに乗っている友人からお借りしてDVDで鑑賞🎬


主人公のジャン=ドミニクは、雑誌の編集長として華やかに暮らしていたのに、
突然脳梗塞で倒れ、全身まひになってしまう。
自分の意思で動かせるのは左目だけ。
瞬きで言いたいことを伝え、文章を書く。という実話。


左目以外、なにも動かせないなんてわたしには想像もつかない。
テレビのチャンネルを変えることも、
顔にとまった虫を払うことも、
大好きな子どもを抱きしめることも、
嫌いな相手から顔を背けることも。


動けないということは、とにかく今わたしが無意識でやっているあらゆることが、
自分ではできなくなるということなのだ。


沢山沢山、頭の中で思っていることはあっても、
話しかけたり動いたり、自分から何かを動かすことはできないから、
潜水服の中から必死に、外に向かってわめきたてているような気持ちになる。


全編の大半をジャン=ドミニクの視点で見せてもらったことで、
その気持ちのほんの一部を、画面越しに体感することができた。



そして、外に向かっての発信が限られてしまったジャン=ドミニクは、
想像の世界で遊ぶことに幸せを見出す。


想像だけでならいくらでも自由にいられるはずだけれど、
ジャン=ドミニクの頭の中にあるのは少年少女が夢見るような、
おとぎ話の世界ではない。


彼が見ているのは、
例えば普通に歩ける自分。
美味しいものを好きなだけほおばる食卓。
美女と2人で過ごす時間。


病気をする前の自分なら当たり前にできていたはずのことを、
病気をする前ならありがたがりもしなかったことを、している自分だ。


それはとても現金で、くすっと笑ってしまうようなもの。
時々映るジャン=ドミニクの姿は、どこからどう見ても重度の障害者なのに、
すごく大変なはずなのに、頭の中はこんなに面白い世界が広がっているなんて!


そのギャップがまた面白くって、大変な思いをしてなお、
ユーモアを忘れない彼がとても好きになりました(#^^#)