車いすを押してみると

1年前くらいに知り合ったお友達が車いすユーザーで、ちょこちょこ車いすを押すようになった。


それまでは車いすなんてほとんど触ったこともなくって、街中で見かけても何も思わなかった。気づいたら道を開けるくらいはしていたけれど。


で、自分が押すようになって初めて気づいたこと。
都会でも道ってかなりガタガタしている。
海外でタクシーに乗ったときには日本の道は平たんで快適だなあと思ったけれど、車いす目線だと全然だ。
歩道に乗り上げるときにはつんのめりそうになるし、歩道を進むのも、ずっと斜めになっていて片手が疲れることもある。


あとは、駅は車いすで動くには不便だということ。
乗りたい電車は目のまえに見えるのに、階段があるせいでエレベーターを探して駅を一周しなければならなかったり。
ホームのエレベーターも端っこにあることが多いし、1か所しかないので目的地まで大回りになることも多い。
それと基本的にはわたしの友だちはスロープを使わずに電車に乗るんだけど、それはスロープを待つと平気で2本3本と電車を遅らせられるからだ。安全確認、各所への連絡。必要なのはわかるけれど、待たされる方はいちいち時間を損している。


ちなみにわたしの親の実家は九州の田舎なので、そもそもエレベーターがない。(というか、エスカレーターも、自動改札機すらない)
車いすのご老人も多いはずだけど、駅に入るには階段の手すりに機械をくっつけて、ウィーーン、と上げてもらわなきゃいけない。


それに比べたら、都会の駅はちょっと時間がかかるだけで、自力で動けるだけ便利なのだと思う。
道も、段差や障害物はなるべくないように、工夫されている。
それでも、車いすで移動するのには不便がつきものだし、時間も人よりかかる。
スマホを見ながら、よそ見をしながら歩いている人もたくさんいる。車いすの目線からしたら、自分が見えていない人が進行方向にいたら、とても怖いと思う。


色んな場所がバリアフリーになってきているけれど、それでも友だちは大変な思いをしているんだということに気づく。
一度気づいても、しばらく車いすを押さない期間があったら、久しぶりに押したときにあぁ忘れていたなと思うこともある。