世の中は仕事で溢れている。

仕事の中で、人のお仕事探しの手伝いみたいなこともしている。


特別な技術、経験、資格とかがない人で、ある程度年齢がいった人だと、
清掃とか警備とか、そういう身体を動かす仕事はどうですか、ということになる。


こういう風に勧めるのがパターン化してきて、思ったこと。
警備や清掃って安易にいうけれど、誰でもできる仕事だろうか?
ほかの選択肢もあるんじゃないのか?


街中を見渡す。至るところに仕事をしている人がいる。
いかにもなバリバリのキャリアマンは言うまでもなく、コンビニに入ったら店員さん、
職場の建物にはお掃除のおばちゃん、車いすを押しているヘルパーさん。


警備や清掃だって、一口に言っても色んな種類がある。
オフィスビルの警備ならきちっと制服を着て入口に立つ。
駐車場なら敷地の中を動き回って、大きな声で誘導をする。
掃除の仕事は、商業施設ならトイレの掃除もしなきゃならない。
マンションだったら、ごみ捨てや住人の人との挨拶も仕事のうち。


世の中は仕事で溢れている。
わたしが仕事をしていない時間も、誰かの仕事で支えられている。
それに、わたしは都会の近くにいるからサービス業ばかりが目に付くけれど、
わたしが食べるもの、着るものを作っているのだって誰かの仕事だ。


だからもっともっと頭を柔らかく、その人にあった仕事を見つけられるといい。

『塩狩峠』三浦綾子

三浦綾子さんの本は『氷点』以来。☃


主人公の永野信夫は、塩狩峠で発生した列車の事故で、ほかの乗客を守るために自ら犠牲となった。
これがオチなのだが、裏表紙のあらすじに書いてあったので、物語の結末は知った状態で読み始めた。


だからこそ逆に、信夫の少年時代から青年時代は意外な印象だった。
ヤソは憎しと育てられ、クリスチャンの母親に複雑な感情を抱いていたけれど、母の柔らかな包容力に本当は甘えたくてしょうがないという気持ち。
親友に手紙で打ち明けた、青年期特有の悩み。大人の世界への好奇心と、清く正しくありたい自分の間でぐらつく気持ち。


ひとつひとつの信夫の悩みは、よく共感できるような、少しだけ懐かしいような。


やがて信夫は、職場でも協会でも人望を集めてゆく。
安定した人格を身に着けて、周りに人が集まって。
素晴らしいことなのに、何だか寂しくて。目の前のことと必死に戦っていた、子ども時代の信夫が愛しく思い出されて。
そして物語はあらかじめ知らされた結末に行き着く。


グワーッと読める面白さじゃないし、特別な仕掛けがある訳でもないけれど、
引き込まれて読めてしまうのは、やっぱり子ども時代の心の描写に共感するからでは、とも思ったりするのです。
いい大人でも。いや、大人だからこそ、かな?

長ーい話の対処法

職場のなかでは若手のわたし。
いまの仕事の経験も浅いほうで。


人の好い先輩方に恵まれているので、皆さんいろいろ教えてくださる。
制度のこと、人としての礼儀作法、仕事をするうえで気をつけなきゃいけないこと、等々。


最初は本当にありがたかった。
それはもう放置されるよりは何倍も何十倍もうれしいことで、いろいろわからないこともご教示いただいて成長してきた。


だけど、ちょっと長いよー、という時もある。
特に、わたしも仕事に慣れてきて、仕事量が多くなってきたとき。
話を聞くばかりに時間をかけられない。
それに、最初は良くっても、だんだんと頭が疲れてきてしまう。


もちろん厚意で話していただいているから、ぶった切る訳にはいかない。
かといって、すべてを受け止めるには時間もないし自分もしんどい。


話の長い人とはこれまでにも付き合いがあって、わかったこと。
長い話をしている本人は、自分の話を聞いてほしい、という気持ちが強い。
そして、聞く姿勢というのは、意外と省エネルギーでとれるものだ。


具体的には、話の2割ぐらいの要点をつかむイメージで話を頭に入れる。
大まかな筋を外さないようにして、その2割のなかの一部について、繰り返したり、たまに質問したりする。
あとは、そんなに全身で受け止めずとも、「ふむふむ」「へぇー😲」的な相槌を打っておけば聞いている風になる。


仕事が忙しいときにも、それまできちんと聞く姿勢を取っていれば、ほかの要件が入って席を離れても相手の気分を害さない、と思う。
電話が鳴った、誰かに呼ばれた、用事を思い出した…などなど。


もちろん大事な話、お説教などは10割、ちゃんと聞くようにしているけれどね。
省エネモードで聞いても良い話かどうか、話の最初の方で判断して、自分を切り替えると良いかもしれない。


決して悪気があるわけではなく。
でも、経験を重ねると、人間いろいろと語りたくなっちゃうものだから。
相手の気持ちを尊重しなきゃ。それはそうなんだけど自分も大事。
しんどくなるまで頑張ってしまわないように。適度に力を抜くことも大事だと思うのです。